失われるもの

 

 うちの仕事場にはAKBの信奉者というかシンパというかいやそのまあ、ファンの人が大勢いる。

 大阪で握手会があるとその話で持ちきりになったりするので、自然とどんな感じの会場なんだろう?と物見高い私は興味が湧くのだけど、見に行くにはCDを買って握手券を入手しなければならない。しかし自分の趣味とかけ離れた楽曲揃いでそのあたりのハードルが高く、そこまではなあ・・・となり今に至っていた。

 

 昨日の傷害事件で、設営された会場がこれでもかと映し出されている。

 正直、こんな形こんな経緯で見たくはなかったなあ。縁もゆかりもない女の子たちだけど、せめて大怪我をしたのが利き手じゃありませんように、と思ったりする。

 それにしても、「生のアイドルに会える」ほど近くに寄れるのが売りの商売で、セキュリティがそこまで甘かったとは。タレントをあまり大事にしてないんだなあ、と。

 

 加害者はいわゆる「無敵の人」ってやつなのかしらん、と呟くと、無敵の人って何?と聞かれて、ごく簡単に言うと失うものがない人って意味かなあ、と説明した。なるほどなあ、と軽くウケた。

 でも、失うものがないっていうけど、きっとあるよね、親御さんもご兄弟も皆傷つくだろうし。と言う人がいて、それもそうだと思う。

 無敵の人とは、失うものがない人というよりも多分、失うものがないとかたくなに思い込んでいる人のことなのだろう。

  ともあれ、何もまだ明らかにはなっていないので、いらぬ言葉は控えておこう。