あなた動機が不純なんだわ

 

 同窓会で挨拶をかわしている中、「今も音楽をやってるの」と何人かに声をかけられた。

 当時は休み時間に教室にいるより部室にいることのほうが多いくらいだったので、私の印象も薄く、話の接ぎ穂に使える話題がそれくらいしかないということもある。

 ひとり、今からでもやったらいいのに、と言ってくれた級友がいたけれど、いやもう(今の音楽のレベルが)遥か遠く前へ行ってしまってるからとてもとても・・・と笑ってごまかした。

 

 昔日の、素人でも抑えられる数種のコードの組み合わせだけで成り立っている素朴な曲がいくつもランキング入りしていたような時代ならともかく、今現在、私が休みの日につけっぱなしにしているFMから流れてくる曲のほとんどはそんなレベルにはない。インディーズから突如メジャーに登場したような新人でも、複雑なコードをまるで呼吸をするように使いこなしていたりする。

 

 大体、曲を書くのをやめた原因の主たるものが「自分の書く曲のクオリティにまったく満足できない」だから。

 しかも自分で曲を書こうとした動機がそもそも「FとBのコードがまったく押さえられないので、それ抜きで曲を書いてその場を凌ごうとした」だからなあ。

 ネットに親しむようになってから、嘉門達夫が同じ動機で曲を書くようになった事を知ってひとり大笑いした。とはいえ、向こうは大成したのだからえらいよな。