失われた文体を求めて

 

 研修が前倒しで終わったので、1日余分にお休みを頂いた。

 新聞とWEBに目を通しながらゆっくりと朝を過ごしていたら、はてな匿名ダイアリー(通称・増田)で妙なものを目にしてしまって、思わず突っ込んでしまった。

 

 履歴書はちゃんと手書きで書こうよ、就活生クンたち!

 

 思い出してみれば、80年代の雑誌によく見かけた文体で昭和軽薄体と呼ばれた一群とも似通っている。それにネット独特のウザ文体(※)をミックスした感じ。創作だとすると相当手が込んでいる。

 

 昔の雑誌の文体には「○○クン」とか「キミ」とか「かナ?」とか「チョット」とか、どうしてそこで使う!という箇所でカタカナを多用する特徴があった。印刷媒体からそういうテクスチャーの文章が消えたのっていつ頃だったんだろう。気がついたら見かけなくなっていた。

 

 80年代の若者向け雑誌を筆頭とするノリ重視のカタカナMIX文体とは別の系統で、70年代以前の雑誌の記事や広告などにもカタカナ表記が頻出していた記憶がある。「赤ちゃん」じゃなくて「赤チャン」や「アカチャン」と表記したり、「素晴らしい」ではなく「スバラシイ」だったり。

 また、例)「毎日のお通じ大切ですネ!!」みたいな語尾の「ネ」とビックリマークも多かった(今でも高齢者向きの広告などで稀に見かけるけど)。

 

 文体にも栄枯盛衰があるのは非常に面白いのだけど、いざサンプルを持ってこようとしたときに、特に広告などは賞をもらって後世に残っているようなものほど癖がなくて今見ても違和感がなく、ああこれじゃない、と思う。

 それよりは80年代の量産型コラムのような、時の流れの中で忘れられた仕事を改めて見てみたい。

 

 

 

※最近ウザいのは文体よりもやたらと行間を空けるブログ。10数行空けてテキストを1行、再び10数行思わせぶりに空けて1行。「あ、またか」と気がついた時点で読まない。