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テトリスとオンラインゲーとその他諸々


 私は今現在ingressというゲームを時間の合間に楽しんでいるけど、実はここ10年以上ゲームらしいゲームをやったことがなかった。

 遠い記憶をたどれば、独身時代にテトリスをやりこんでいたことはある。実家の二階のテレビに接続していた据置型ゲーム機は妹が身銭を切って購入していたブツで、それを私は妹のいない隙に便乗して使っていた。
 血眼になって四角いブロックを積み続けドット絵のダンサーたちがコサックダンスを披露してくれる瞬間訪れる達成感と脱力感。一銭の金にもなりゃしない。「徒労」という言葉にこれほどふさわしいものがあろうか。

 来る日も来る日もテトリスをやっている自分に嫌気がさしてきっぱり止めて以来、私がゲームに見向きもしなかった間に世の中は大きく変わっていった。私の知らない世界。ネット環境というものが整ってオンラインゲームというものが登場していたのだった。

 たまたまある日ingressのハングアウトでその話になった。
 ラグナロクウルティマ、FF,モンハン・・・私以外の皆さんはそれぞれ一通り通過儀礼のようにそれらを嗜んでおられて詳しいの何の。
 それぞれの概要を小耳に挟んだことはあっても基本初めて聞くような話が多く、楽しく聞いていたけれど中にはぞっとするような話もあって。

 ゲームに没入するあまり大学を辞めた人がいたとか会社を辞めた人がいたとかいう話がちらほら程度ではなく出てくるのだ。しかも会社を辞めた人はその後行方知れずになったという話。
 人の話の一部をかじっての推測にすぎないけれど、当時のオンラインゲームには集団行動を促すイベントなどが多く組まれていて、それらに過度に順応しようとした結果らしい。

 本人にも受け入れる素地があったのだろうが、役目を割り振って圧力をかける人もいたとのことで、何ともやりきれない。同調圧力なんて現実世界だけで充分じゃないか。

 いま関わっているゲームでは基本「ゲーム」であることを弁えて程良く楽しんでいる人が多いけど、中には見ているこちらがびっくりするほどのめり込む人も少数ながらいる。これはゲームに限ったことではなく人が集まればその内何割かが尖った方向に行くというのは予め決まっているのかも知れない。

 スキャナーの向こうに蠢く(特に敵方の)人の気配が時折煩わしく感じることはあるけれど、暇つぶしにたとえばスマホの無料ゲームの一つをダウンロードしてやってみようかとなると、昔連日一人でプレイし続けたテトリスの孤独さを思い出しておそらく途中で折れるんだろうな、と思う。