思い出のおまゆう

 

 女の人に直接ブスデブ太ったと言うことなんて(実生活で)なさそうと、twitterでフォローしている人がつぶやくのを見て、これが環境の違いというやつだなあと思った。

 
 そういう言葉を平気で言い放ついい年の大人を私は何人も見てきたし、仕事場でまともに挨拶を返さない大人だっていた。
 ほんと、どんな環境で暮らしてたんだと思われても仕方ない。こうして改めて書き出すと恥ずかしい限りだ。
 
 真っ先に思いだすのは以前勤めていた職場で管理職の任にあった人。この人は女性が挨拶をしても若い女性以外はきれいに無視して挨拶を返さない。
 無視されても平気なメンタルに更に磨きがかかる素敵な職場であった。
 
 職場自体がダメダメなのはわかっていた。
 そいつもそいつの上役も、接客業という人を相手にする職種なのにバックでは従業員に挨拶されても反応しないときてる。
 私は上役の方に、たまにまぐれで会釈をされることがあったが、その場面を目撃した先輩従業員から「認められてる証なんだよ!誇りに思ってガンバレ!」と激励されて、それって大前提が思いっ切り間違ってないか?と口元がむずむずしてきて困った記憶がある。
 
 実は仕事で認められてなんかいなかったのは私自身が一番知っていた。
 なぜって、酒の席に来いと言われて明日仕事なのでと断ったら「そんなもんどうでもいいじゃないか」と言い放ったのがその上役なんだぜ。期待なんか何もされちゃいない。
 
 ただ、扱いにむかつきはするが社員じゃないから仕方がないという身の程というか諦念のようなものがその頃には身についていて、自分に課した小目標をクリアすることに専念する日常だったように覚えている。荒利と数字だけが友達さ、って歌があったような(違う)
 
 ある日のこと、忙しい中昼礼に駆けつけると、例の若いチャンネーにしか挨拶しない管理職が壇上に立っていたが「職場での挨拶は人間関係の基本です」と大真面目な顔で訓示してるのでポカーンとしてしまった。
 「おまえがいうか」バックヤードに戻って思いっきり笑った。
 この会社もうダメじゃないかな、と真顔に戻って思った。