土産ばなし

 

 夜が更けてくると、いつのまにか白人の旅行者たちの姿は街角から消えて、街灯のおぼろな光の下で地元の人たちが寛ぎながらお茶を飲んでいた。

 

 息子の土産話の中のベトナムの景色は、私が子供のころの昭和の街角の薄闇を彷彿とさせる。いつか行こう。この目で見よう。

 

 食べ物でひときわおいしかったのはパン。どこで食べても外れがなかったと。フランス領だった頃の名残だろう(※)。

 バインミーという、フランスパンに具を挟むサンドイッチがあちこちで売られている。ファストフード風の店構えのものから屋台までいろいろあるけど、どれもおいしかったとのこと。

 

 検索で「バインミー」と入れて出てくる写真をさし、こういうとこ?と訊くと、そうそう、この店で食べたよ、と。

 自分でも作れそうだけどまずは本物を食べてみたい。どこか近場で気軽に食べられる店がないか時々検索している。

 

 

 

※普通のフランスパンは小麦粉だけだが、ベトナムのパンには米粉が入っているらしい。適度に柔らかいのでサンドイッチにしても食べやすい。