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ガチAGになれなかった私のために(2)

 

 しかし暖かくなった。さすが3月だ。

 続きを書こうと思いながら時間が取れないうちに冬が終わってしまった。

 身内に年寄りがいると、市役所での諸手続きの代行や入院している病院への届け物などでバイクに乗ることが多い。

 小回りが利いて素早く移動できるバイクはingressをやるにあたって圧倒的に有利だったが、思い出してみるとやってる最中はなぜかあまり乗らなかった。

 

 ingressへの熱が冷めた3つ目の原因となったものは、同一府県内で起きた揉め事に関する味方陣営のAGの言動だ(ただこの人と面識はないし活動地域も重ならない)。

 詳しい内容は後追いで知ったのだが、敵色チームの人が、こちら方の特定の人物が家の前のポータルに何時間も居座るのが耐え難いと警察に通報を行ったらしい。やり取りほかを掘っていると、付きまといプレイもあった様子。

 

 正直なことを言うと、もしかして通報はゲームを有利に進めるため?と一瞬考えた。いつのまにか世間の感覚からはかけ離れたものになっている自分の思考が嫌だった。

 

 

 

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  「クソババア」「死ね」なとの暴言を誰も諫めなかったのか、とかはこの際置いとく。私も(目にした時点で)10日以上経ってて今更感があったので何も書かなかったし、人のことはとやかく言えない。

 でも「脳みそマンコすぎ」という言葉の破壊力が凄まじくて、憑き物が落ちたように何もかもがどうでも良くなってしまった。ingressに関する何もかもがだ。

 乏しい時間の隙間を見つけてはリソースを注ぎ込んでいた2年半の年月は、この瞬間に色褪せた。

 

 

 自分自身のことを言えば、後をつけられるようなプレイが物凄く嫌いで、AG生活?の後半ではずっとIITCを敵AG避けに使っていた。

 でも仕組み的に、熱心なプレイヤーほど結果的に粘着性に見えてしまうこのゲームを「そういうゲームだから仕方ない」と気持ちに蓋をして我慢していた部分が結構あったのだと、この騒動に対する人々の様々な反応を俯瞰していて実感したのだった。

 

 追尾してくる敵に遭遇することは時折あった。

 いちいちは言わないが、家のそばまで2時間もついてこられた時はさすがに気味が悪かったのでGoogle+で愚痴った。

 人によれば自意識過剰と思うだろうし、ゲームの性質を弁えてないのが悪いとも思うだろうし、最悪おばはんのくせにモテ自慢やめろやと思われている可能性すらある。

 なので普段は苦痛に思ってもなかなか口に出しづらい。

 

 ほんとうは、性別も年齢も美醜も関係ない話のはずだ。私は若くもないし美しくもないが、ゲームの余波とはいえ知らない人に家のそばまで後ろをついて来られるのは気持ちが悪くて嫌なのだ。

 口に出す者と耳で聞く者は、違う景色を見ている。埋めがたい溝がある。

 (追記:その頃の2ちゃんねるのスレッドを見てみたら、上記の事例についてもBBA・更年期・自意識過剰など告発者の属性を謗るワードがずらっと並んでて軽く眩暈がした。自分の話もおそらく同じように捉えられていたんだろう)

 これはそういうものなのだから嫌ならやめるべしと人は言う。それもまた尤もだと思うから私は去る。

 

 数ヶ月前同性のAGから、友人を誘って一時期一緒にプレイしていたが、未知の人物と接近してしまうのがどうも嫌だ、と断られた(この時は敵方の同性からのハラスメントがあったばかりなので、仕方ない感はあった)という話を聞いた時に、本当は自分もそうしたほうが理にかなっていたはず、と思った。

 

 なのにあの時なぜ次の一歩を踏み出してしまったか。

    初心者の頃、夜道を自転車で移動しても移動しても敵AGがついて来て、ピタッと真後ろにつかれてワンコを仕掛けられる儀式をこちらが嫌気がさすまで繰り返されることへの苛立ちがあった。

 猟師と追われる鹿のような構図がみじめで嫌だった。さっさと強くなって払いのけたい。たったそれだけのことだったのだ。

 それが何の拍子か2年半以上も続いてしまった。

 

 そして潮時というものが、ある日突然春一番のようにやって来る。