いくつに見えます?

 

 煩雑な用事続きだったけど、峠を越してやれやれ。やっと芯からリラックスできる時間が戻ってきそうだ。

 

  先日、日記に書いたLINEのサブアカウントの削除も後回しにしたまま忘れていた。

 思い出したのは、通知が来たからだ。ポップアップの文面を見ると、知らない人たちの「仕事」という名前のグループに入れられたお知らせだった。まずい、忘れてた!と速攻削除した。なんとなく申し訳ない気分になったのはなぜだろう。

 新しいアカウントは「友だちへの追加を許可」「友だち自動追加」の両方の設定項目を外した。最初からそうしていればよかったのだ。

 

 ところが次の朝早く、実家の母からだと思い込んで寝ぼけた声でガラケーにかかってきた電話に出たら、全く知らない人だった。超セールストーク声の知らない男性だ。

 流暢な美声で「もしもし」と切り出した彼が、私の応答を聞いた後「あ・・・」と口ごもり、間違えたようです失礼しました、と電話を切るまでに私の脳裏を往来したのはLINEのアカウントを削除するまでの経緯だった。もしかしたら前の人はこういう踏み込んだ人付き合いが嫌で電話番号を手放したのかしら、と根拠はないけれど思った。

 

 夕方電話をかけてきたのは、今度は本物のうちの母だった。

 「ねえねえ聞いてよ。」

 何ですよ?

 「あんたの小学校の時の同級生のKさんのお母さんにこのあいだ会うたのよ。」

 ああ、あの〇〇屋の(でもどんな人だったっけ?)。

 「挨拶もそこそこに、いきなり『私いくつに見えますぅ?』って聞くのよ。」

 へえ・・・いくつくらいの人だっけ?

 「もう80近いと思うけど・・・くねくねして、『お若いですわ、そんな年にはとても見えませんわ』ってお世辞返すまで離してくれはれへんねん」

 そら鬱陶しいなあ。

 「のらりくらりしてたら、そう答えるように一所懸命誘導しはるねん、かなんわ」

 

 そこで思い出して言った。

 ネットで見たんやけど、「いくつに見えます?」って迫られて「158センチくらいでしょうか?」って答えた人がおるらしいで。

 母は、それ次使えそうやな、覚えとこ、と言って電話を切った。

 使ってどうなるか私は知りません。自己責任でどうぞw

 

 人が自分の美醜や若さにいい意味で見切りをつけたり悟ったりすることを、私は「解脱」と勝手に呼んでいるんだけど、80歳近くなっても解脱できないこともあるんだなあ。

 ある意味大変だ。