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再会

 

 行きのフライトで指定席が確保できなかったことを、旅行会社のカウンターのお姉さんは平謝りに謝ってくれていた。空港で窓口に立ち寄ればいいだけの話なのでこちらはさほど気にしていなかったのだが。

 

 団体客が入ったからだと聞いていたが、私たちが搭乗ゲートに行った時にはその団体客は既に集合して点呼を取っていた。高校の修学旅行だ。

 後部座席のほとんどは彼らが占めていた。離陸時には「ひゃあ~」「おお~」という声が声が上がって、フライト慣れした乗客の笑いを誘っていたが、「ひゃあ~」と言いたい気持ちがわかりすぎるくらいわかる私は力ない笑いを漏らすのみだった。

 

 それきり彼らのことは忘れていたのだが、2日目に石垣港から高速船に乗って西表島に行き、由布島の水牛渡し場から戻ってくる時に、バスから降りてくる彼ら彼女らと入れ違いになった。

 

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 あれ、また会ったよ、と驚いたが、観光スポットを辿るならルートは似たものになりがちだからおかしくはない。でもそのあとの帰りの高速船まで一緒の便で、何べん会うねん、と笑ってしまった。

 

 この水牛渡しの戻りでたまたま一緒に居合わせた若い男性の2人組は、その後に立ち寄った星砂の浜にもいた。学生時代からの友人どうしだそうで、そういう長く続く付き合いがない自分はその仲の良さをすこし羨ましく感じた。

 

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 その翌日、ホテルで朝食をとっていてふと横を見ると、2~3テーブルほど離れた向こうに彼らがいた。さすがに声はかけなかったが、島の狭い観光客の世界の中ではありそうなこととわかっていても、ちょっと息を呑んだ。

 

 星砂の浜での彼らは、石に座って沖の方を見ながら静かに話をしている様子だった。

 浜では砂に掌を押し付けて星砂のかたちを確かめている人もいれば、渚を散策する人もいた。泳いでいる人もいるにはいたが、沖合に発生している台風の影響で風が強く、見るからに寒そうだったのを思い出す。

 

 沖のまだまだ遙か彼方にありながら、石垣や西表に時折凶暴なほどの風を吹かせていたその台風が、今この日記を書いている最中、私の頭の上を通過している。北上しながら衰えてずいぶん角が取れたようではあるが、この風はあの風か、また会ったのか、と思うと懐かしいようなおかしいような妙な気分になる。